ピクニックといえば

ほかのイギリス人同様、私もピクニックが大好きです。東京に住み始めてからは、5月と6月の週末は可能なかぎりピクニックへでかけます。暑すぎず、風が肌に心地よいこの季節、身近な友人を集めて、食べ物を持ち寄って、公園の木の下でピクニックを楽しみます。一日中のんびりしたり、冷たいビールやワインを片手におしゃべりしたり、おいしい料理を食べたり、元気があれば子どもたちとフリスビーをしたり。他にはかえがたいリラックスできる時間です。

それで先日、週末の天気予報がよいときに、地元の公園でのピクニックを企画しました。東京ですが木々や草花が茂った贅沢な公園です。そこで最初に準備するのは、私が最初に日本に来たときにイギリスから持ってきた頼りになるピクニックバスケット。クラシックな籐のバスケットで、かなり大きめのサイズ。内側にはお皿やカトラリー、塩コショウ、そして最も重要な栓抜きを取り付けるための革のストラップが付いています! ここ数年間はバスケットを使っていませんでした。じつは私がSwan&Lionを始めたときに、このバスケットは私の個人的なピクニックバスケットではなくなってしまったのです。週末のファーマーズマーケットやイベントに参加するための多機能のビジネスエイドに変身しました。商品を運ぶのにも、展示して販売するのにも使っていました。とても大きなバスケットなので、チャツネなどを50個ほど詰めるのにも充分ですし、ケーキやスコーンも入ります。とにかく、私がマーケットで販売するのに充分の商品が収納できました。そして、バスケットは私の自転車の後ろに完全にフィットします。運ぶのにも、販売ツールとしても最適な形状だったというわけです。それに何より、お客さまに「イギリスらしさ」を感じていただくのにぴったりのセッティングになりました。当時を振り返ると、このピクニックバスケットのおかげで、私のビジネスの何たるかがクリアになったのだと思います。機能的にもブランドイメージとしても、最適のアイテムだったのです。

でも悲しいことに、自転車の後ろに乗せてたくさん旅を重ねたせいで、バスケットはずいぶんとくたびれてしまいました。日光と雨風にやられて枝編み細工の一部は壊れ、お皿やカラトリーも壊れてしまったか行方不明に。そんなわけで、バスケットを新調しようとイギリスのオンラインサイトをチェックしてみました。どんなものでもそうでですが、価格はピンキリです。中国やインドネシアから輸入したバスケットは約70ポンド(1万円)で手に入ります。とっても安いですね。でも一方で、ピクニックバスケットのロールスロイスといえば、やはり英国製。G.Wスコット製のバスケットを見過ごすことはできません。 1661年にロンドンに設立されたG.Wスコット&サンズは、富裕層向けの高級バスケットと皮革製品で有名です。現在私たちがよく知るピクニックバスケットが最初に作られたのは1851年だと言われています。ビクトリア朝時代には、ピクニックやピクニックバスケットへの旋風が巻き起こったそうで、当時、ピクニックはとてもおしゃれなイベントになり、汚染や暗い環境から逃れて屋外で食事をするのが流行でした。 GWスコットは、コンパートメントを備えた籐バスケットと、屋外での食事に必要なものすべてを固定できる頑丈な革ストラップを作って、このトレンドの波に乗ったというわけです。 それから300年以上の歴史を重ねた後、1979年に144 Charing Cross Roadにあるショップのドアを閉め、二度と再開することはありませんでした。グーグルで調べたところ、144 Charing Cross Road自体がもう存在しないようでした。Tottenham Court Roadという新しい地下鉄駅のアップグレードのために、取り壊されました。でも、ロンドン・スクール・オブ・ファッションの卒業生であるスチュアート・エグルトンが、このブランドを2016年に復活させました! イギリス製の素材のみを使用した高級ピクニックバスケットの生産を再開したのです。この籐バスケットには、1851年に作られた最初のピクニックバスケットに使われたヤナギを生産した家族によって栽培された、同じ種のヤナギが使われています。サマセット地方で栽培されています。

Willow Farm, Somerset

革もサマセットから供給されています。陶磁器は、ウォーターフォード、ウェッジウッド、ロイヤルドルトン、ロイヤルアルバートなど、世界的にも高く評価されている陶器ブランドの本拠地であるストークオントレント製。カトラリーは、17世紀からカトラリーを生産し始め、20世紀初頭にステンレス鋼を開発した北部の都市シェフィールドから供給されています。

さて、ではこのイギリス製ピクニックバスケットはいったいおいくらかというと…なんと 1900ポンド! 今すぐ貯蓄し始める必要がありそうですね(笑)。

でも、豪華なバスケットがなくても、ピクニックをステキに楽しむ方法はありますので、簡単にご紹介しておきましょう。

  • 東京では、5月以降は少なくともクーラーボックスが2つ必要になります。1つは食品用、もう1つは飲み物用です。保冷剤を使ってもいいですが、水やジュースのボトルを事前に冷凍して入れておくのもおすすめです。
  • また、大切なのは食材の量。太陽のもとに一日置いた食材は、食べきれないとすべてゴミになってしまうので要注意。なるべく食べ残しの出ない量を用意しましょう。
  • ドレッシングとソースは別々に持っていき、その場で和えるようにします。粘り気のあるサラダはさけてください。
  • 必要と思うより多めのお皿やカトラリー、ドリンクカップ、ナプキンを持参します。できるだけプラスチックではなく、リサイクル可能な素材を選びましょう。とはいえ、ゴミ袋もやはり用意しておく必要があります。

  • 小さなまな板と小さなナイフもあると便利です。ナイフは布でぐるぐるとしっかり包み、子どもたちの手の届かないところに置きます。必ず誰かがバゲットや長いサラミを持ってくるはずなので、あるととても便利です。
  • ブランケットはできるだけたくさん持っていきます。決してブルーシーツは使わないように。
  • そして、栓抜きをお忘れなく!
  • 帽子、サングラス、日焼け止め、防虫剤も忘れずに。屋外や思いの他ジャングルです!

最後に、ピクニックをテーマにした私のお気に入りの映画をご紹介します。ピーター・ウィアー監督のオーストラリア映画です。10代前半のときにBBCで見て、とても大きな影響を受けました。その後私はオーストラリアに魅了され、実際に20代でオーストラリアに引っ越してしまいました。

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