イギリスの伝統的なクリスマスデコレーション

今年もまた、クリスマス飾りの箱を掘り出して、お店や家のデコレーションを考える時期がやってきました。毎年同じ箱を開けているのに、いつも何が入っているかを思い出せないのです。飽きてしまった飾りは新年には手放してしまうので、何が残っていて何が残っていないかを思い出すのは簡単ではありません。今年もお店では同じでした。大きなキラキラボールはまだ残っていたかな? 私のお気に入りは、イギリスに住む義理の姉ケイト・ギビンズが作ってプレゼントしてくれたリースです。2015年に九段南にお店をオープンしたときにプレゼントされたもので、それ以来、毎年クリスマスにはお店のドアに誇らしげに飾られています。そして、今年もまだ美しいままなのを確認できて、とても嬉しいです。リボンは少しくたびれているかもしれませんが、リース自体は最高の状態です。これこそが職人の仕事だと思います。

ケイトがつくったリースは、シーラベンダーと呼ばれるリモニウムという植物の花を乾燥させたものが使われています。小さな星型の花がかわいいんです。リースには、地元の森で採集したモミの木の実をメインに、お店で買った装飾品なども飾られています。

クリスマスに常緑樹を飾ることは、何世紀にもわたる英国の伝統で、今でも人気です。天然のものとお店で購入したものをミックスして飾ると、イギリスで家族と一緒に過ごすクリスマスを思い出します。私の母は何年も前から、この方法で階段を飾っています。庭に生えているさまざまな常緑樹の小枝を階段の手すりやレールに巻き付け、キラキラしたチンサルやガラス球などの飾りを加えています。本当に素敵なんです。けれども最近母と話したところ、今年は階段の塗り直しをする予定なので、新しい塗装に傷がつかないように飾り付けはしないそう。でも、きっと伝統は、また戻ってくると思いますよ。

常緑樹を飾る慣習は、じつはケルトや北欧のキリスト教ではない信仰に由来しています。初期のキリスト教会はこの異教徒を思わせる慣習をあまり好ましく思っていませんでしたが、幸運なことに、彼らは常緑樹の特徴を生かして、キリスト教のメッセージの一部を象徴することにしました。今日では、ヒイラギやアイビー、モミの木がイギリスでのクリスマスの重要な要素となっています。

ケルト神話では、森はヒイラギとオークという2人の王によって支配されていました。ヒイラギ王は夏至の日に力を得て、冬至の日まで徐々に日が短くなるのを支配し、オーク王が春と夏の到来を告げました。

ヒイラギの赤い実は、イエスのいばらの冠の血の滴を表していると考えられています。

白い花と赤い実、常緑の葉というコンビネーションを持つヒイラギは、伝統的には豊穣と保護の象徴とされ、もともとは悪霊や魔女から身を守るために家に持ち込まれました。地方の民間伝承では、魔女は生垣の上を通ると信じられていたため、魔女から侵入を阻むためにトゲのあるヒイラギの木を切らずに残したのです。

クリスマスキャロルの中で、ヒイラギと密接な関係にあるのがアイビー。アイビーは地中に根を張り、養分や水を吸収し、木を支えに伸びるつる性の植物です。このペアは男性(ヒイラギ)と女性(アイビー)を象徴し、伝統的にはこの2つを一緒にすることで家庭に平和が訪れると信じられていました。

大好きなクリスマスキャロルのひとつです

クリスマスといえば、キラキラした飾りやライト、ティンセルで覆われたクリスマスツリーを思い浮かべる方がほとんどだと思います。このイギリスのクリスマスツリーの伝統は、ヴィクトリア朝時代(1837-1901年)に始まったと考える人が多いようです。ヴィクトリア女王とその夫のアルバート公(ドイツ生まれ)は、クリスマスの大ファンとして知られていました。しかし実際には、この伝統はもっと古いものです。ドイツから、この伝統がイギリスに伝わったのは、ジョージ3世が王位に就いていたジョージ王朝時代のこと。ジョージ3世のドイツ人の妻シャーロットは1790年代に、すでに家族のためにツリーを飾っていたと言われています。とはいえ、ファッショナブルなクリスマスにツリーを飾るのが一般的になったのは、ヴィクトリア女王とアルバート公の時代であるため、イギリス人の多くは彼らがこの伝統を始めたと考えています。

このゲルマンの伝統は、聖ボニファティウスという人物を介して、イギリスとも伝説的なつながりがあります。素晴らしい歴史的なサークルです。彼は675年頃、デボン州に生まれ、エクセターの修道院で教育を受けたのちに宣教師となり、布教活動のためにドイツに派遣されました。

クリスマスツリーの伝説は、ドイツのガイスマー村の「サンダーオーク」を破壊した聖ボニファティウスの決断に基づいています。聖ボニファティウスは、当時その地域で信仰されていた北欧神話の象徴であるこのオークの木を破壊することで、キリスト教の神の力を示して人々を改宗させようと考えました。オークの木が倒れたあと、その隣に小さなモミの木が生えているのが見つかり、聖ボニファティウスはその常緑樹の葉をキリスト教の永遠の命の象徴としたのです。

1947年以来、ノルウェーは第二次世界大戦中に支援してくれたお礼として、ロンドンにツリーを寄贈しています。11月にノルウェーで特別な式典が行われてツリーが伐採されると、その後、ツリーは海路でイギリスに渡ってロンドンまで運ばれます。ツリーはいつも北欧の伝統的なスタイルで飾られ、トラファルガー広場に展示されています。

さて、もし、みなさんがクリエイティブな気分になって、クリスマスデコレーションを手作りするためのインスピレーションを探しているなら、イギリスのサマセットにあるウィンドミルファームフラワーズのオーナーだった頃のケイトの作品をご紹介しましょう。とってもモダンでスタイリッシュです。

リースの数々:

屋内の飾り付け:

それではみなさま、メリークリスマス! どうぞ素敵なクリスマスをお過ごしください。byスワン&ライオンのスタッフ一同。

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