このレシピは、少々生地作りのスキルが必要なので、料理の腕前に自信のある方におすすめです。今回のパイ生地は湯練りで、手作業で成形していきます。生地を休ませたり冷ましたりする工程が何度かあるので、自宅でのんびりできる日に作るのがよいと思います。パイ生地作りの道具は、ペイストリーブラシ(なければ100円ショップで購入可能)と、パイ生地の蓋を作るための麺棒だけです。もし麺棒がなくても、手で作ることができるので心配いりません。
この昔ながらの手焼きの生地はとても頑丈なので、重い肉の詰め物でもしっかり支えることができます。すばやくかき混ぜる方法で、作り方はとっても簡単です。湯練りは、他の生地のように冷やす必要はなく、ラードを加えるときに「熱い」状態であることが必要です。
今回、私は木製の大きな「dolly(ドリー)」を使って、パーティーサイズのパイ生地ケースを作りました。これは、イギリスで最も有名なポークパイ、メルトン・モーブレーのポークパイの伝統的な作り方です。私はイギリスでこのドリーを買いましたが、日本ではなかなか手に入らないので、今回は普通のジャム瓶を使って作る方法をご紹介します。スワン&ライオンのチャツネの空き瓶(高さ7cm、幅6.5cm)を使いました。手前みそですが、とても素晴らしい瓶です♪
このレシピでは、上記サイズの瓶で6個分のパイが作れます。大きい瓶を使う場合には、生地の分け方を調整してください。
材料:
パイ生地: 薄力粉 500g | パイの中身: 鶏もも肉(皮なし)もしくは胸肉(両方でも可)600g |
ラード 120g | スモークベーコン(普通のベーコンやスモークハムでも可) 400g |
水 230g (1 cup) | キュウリのピクルス(市販のもの/甘い味がお好みの場合はドライアプリコット)4 個 |
塩 大さじ1 | お好みのハーブひと握り分を刻んだもの(タイムやセージ、パセリ、タラゴンなど) |
溶き卵 1個分 | 塩コショウ |
■まずパイ生地を作ります:
1. 大きめのボウルに小麦粉と塩を加えておきます。
2. 鍋に水を入れて沸騰させ、火を止めてラードを加え、溶けるまで混ぜます。
3. 1の小麦粉に2のラードとお湯を慎重に加え、十分に冷めるまでスプーンで混ぜます。
4.軽く小麦粉をまぶした台の上に3の生地をのせ、滑らかになるまで1分ほどこねます。
5. ラップで包み、冷蔵庫で2時間以上冷やします(前日に作っても問題ありません)。
■次にパイの中身のを作ります:
1.鶏肉とベーコン(またはハム)を、だいたい2cm幅に切ります。
2.ボウルに鶏肉、ベーコン、ハーブを入れて混ぜ合わせ、塩コショウで味を調えます。
3.キュウリのピクルスは縦に薄くスライスしておきます。
■いよいよ、パイ生地のケースを作ります:
1.冷蔵庫から取り出した生地を室温に戻し、6等分にします。6個分それぞれから3分の1を切り離し、蓋を作るためにとりわけておきます。残りの3分の2がパイの土台(生地ケース)となります。
2.それぞれの瓶に植物油を塗り、ラップでしっかりと包みます。
3.丸めて少し平たくした生地の上に瓶を置き、パイ生地の底が2〜3mmの厚さになるまで、瓶をパイ生地に押し込みます。
4.手の平で、瓶の底から側面に沿って慎重に生地を押し上げていきます。生地全体を手の平で包み込むようにして、回しながらおこないます。生地が瓶の上部のすぐ下にくるまで続けます。これをすべての瓶でおこないます。
5.瓶を横にして、テーブル(台)の上でゆっくりと転がします。こうすることで生地が滑らかになり、瓶を取り出しやすくなります。
6.生地から瓶を慎重に取り出し、生地に付いているラップも丁寧に取り除きます。
7.でき上がった生地ケースをトレーに並べ、冷蔵庫で30分以上冷やします。
8.蓋用にとり分けておいた生地を丸めて麺棒で伸ばし、ジャムの瓶の直径より少し大きいぐらいの円形にします。
パイを仕上げていきます:
1.オーブンを200℃に予熱しておきます。
2.生地ケースを冷蔵庫から取り出します。生地ケースの上部の縁(蓋をかぶせる口の部分です)が均一でない場合は、良く切れるナイフでまっすぐになるように切りそろえます。
3.生地のケースに、味付けしておいた鶏肉ミックスを半分ほど詰め、隙間を埋めるようにそっと押し込みます。
4.その上にピクルスのスライスを重ねます。
5.ピクルスの上にまた鶏肉ミックスを入れ、生地ケースの上端から1cmのところまで詰めます。
6.蓋にする生地の片面にブラシで溶き卵を塗ります。卵を塗った面を下にして生地ケースの中に入れ、指でつまみながら蓋の生地とケースの生地をくっつけて閉じていきます。
7.パイ全体に溶き卵をよく塗ったら、蓋部分の中央にお箸などで穴を開けます。
8.クッキングペーパーを敷いたトレーにパイを並べ、オーブンで20分ほど焼きます。
9.オーブンからトレーを取り出し、少し冷ましてから再び溶き卵をパイ全体にたっぷりと塗ります。
10.オーブンを180℃に下げ、パイ生地がきつね色になるまで10〜15分焼きます。
焼き上がったら、パイを完全に冷ましてからお召し上がりください。
下記は、メルトン・モーブレーのDickinson & Morris bakeryのプロがポークパイを作る動画です。生地づくりのご参考にしてください。